今年も平均寿命は過去最高!
毎年9月の前半の週末は地域の敬老会にお邪魔してご挨拶をさせていただいております。敬老会での政治家の挨拶と言えば「今年も平均寿命が伸びまして・・・。」とういうような内容が定番になりますが、最新の統計でももちろん平均寿命は伸びています。平成28年のデータでは・・・
男性:80.98歳
女性:87.14歳
厚生労働省平成28年簡易生命表より
となっています。もちろん、これは過去最高です。ちなみに、「日本は世界一の長寿国」とも言いますが、このところ世界一は香港でして、日本は平成28年のデータでは世界第2位となっています。ただ、世界のランキングの上位は香港のように人口の少ない国が多く、人口1億以上の規模でこれだけの平均寿命を出している日本はやはり「世界一の長寿国」だと胸を張れると思います。
「平均寿命」=「お迎えが来る年齢」ではないのです
さて、今年の富士宮市の敬老会へのご招待の対象となる年齢は77歳ですが、これは自治体により様々です。ちなみに静岡市は今年から79歳になりました。これは、毎年「敬老行事」に対する補助金を対象の年齢の皆さんの人数から算定し、市町ごとに財政状況を勘案しながら決めているようです。どの自治体も年々引き上げる傾向にあります。私の世代だと対象年齢はどこまで上がるのか・・・。
ところで、77歳というと特に男性の場合「平均寿命まであと3年しかないじゃないか」と思われるかもしれませんが、「平均寿命」=「お迎えが来る年齢」ではありません。平均寿命とは残念ながら年若く亡くなってしまう方も含めた統計です。今の年齢から統計的に何歳ぐらいまで生きるのかということを調べたければ、厚生労働省が作成している「簡易生命表」から調べることができます。
私のような37歳男性の場合、平均余命は44.85年になりますので、統計的には50%程度の確率で81.85歳より長生きすることになります。同じように今年の富士宮市の敬老会に初めてご招待された77歳の方の平均余命を調べると男性10.80年・女性14.14年ですので、敬老会に参加された皆さんは男性・女性とも平均寿命より大幅に長生きされることがわかります。
「高齢化」とともに進展する「長寿命化」
「高齢化」と「長寿命化」って同じことじゃないの?と思われるかもしれませんが、「高齢化」とは社会における高齢者の割合が増えていくことで、これは人口構成の問題です。一方「長寿命化」とはその字の通り、社会を構成する一人ひとりの寿命が長くなっていく現象のことです。日本では以下のグラフのように、概ね10年〜15年毎に2歳ずつ寿命が伸び続けています。
なお、寿命は戦後をのぞいて概ね一貫したペースで伸びており、このペースは世界的にも概ね同じ傾向で「平均寿命100歳ぐらいまではこのペースで寿命は伸び続けるのでは」とも言われています。今の子ども達の世代には平均寿命100歳時代が来るかもしれません。
今の日本では「高齢化」と「長寿命化」が同時に起こっていることになります。例えば介護施設が不足したり、敬老会の参加人数が増え対象年齢を引き上げる必要があるということは「高齢化」による影響ですが、「70歳をすぎても元気で働く方が増えている」というのはどちらかといえば「長寿命化」によるものです。「高齢化」による社会の変化は急激でわかりやすいのですが、「長寿命化」による社会や価値観の変化は緩やかに進展するため、わかりにくいという側面があります。
「長寿命化」に伴う価値観の変革を!
今の日本において「高齢化」への対応は急務の課題であることは間違いありません。一方で年々進む「長寿命化」に対応した新しい価値観を示していく必要があります。「何歳まで働くのか」「何歳まで勉強するのか」「自分のキャリアをどう形成するのか」「どんなスキルや技能を重視するのか」と言った価値観は年々変化を促していく必要があると思います。
20歳ごろまで勉強し、60歳ごろまで一つの仕事で働き、20年程度の余生に備えると言った人生モデルは「高齢化」とともに進展した「長寿命化」によって完全に崩壊していると言えます。かつて人類が経験したことのない「長い人生」を良く生きていくために、そして、「人生100年時代」を経験する今の子ども達のために、敬老会を期に今までの「当たり前」を疑ってみてはいかがでしょうか。
「そんなに生きたくないよ」なんておっしゃる方もおられますが、平均寿命の延伸に伴い、健康寿命も若く過ごせる期間も年々伸びているのです。ここは一つ、「長く人生を楽しむための価値観」を一緒に模索してみませんか。
長寿命化に関しては LIFE SHIFT (ライフシフト) という本に詳しく書いてあります。私はかなり前向きなインスピレーションを受け取りました。以下でご紹介いたします。